どいキッズクリニック|舞鶴市浜の小児科・循環器小児科・アレルギー科

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12歳未満の子どものコロナワクチン接種について

2月下旬には子供用のワクチンが全国に配布され、3月になると順次接種券が送られてもちろん無料での接種が始まります。ファイザーのワクチンが使われますが、接種量は大人の3分の一です。ただ12歳以上のように「接種を受けるよう努力しなければいけない」といういわゆる「努力義務」―これも義務や強制ではありませんがーが課せられているわけでもありません。ぶっちゃけた話、国家はどっちでもよいといっているようなものです。
当たり前ですが、やったほうがよいかやらないほうがよいかという話だとやったほうがよいのは間違いがありません。ただ成人に対してと違って子供に対してはいろいろの注意点がありますし、子供のことを考える前にやっておくべきこともあります。
といったことを前提にお話をしていきます。
どうして「努力義務」ではないのでしょうか。
まず一つは子供は総体的に無症状~軽症で経過するといわれます。日本では12歳未満の子供は今までに30万人罹患していますが、死者は今のところ一人もないということです。ここがインフルエンザと大きく違うところです。オミクロン株になってワクチンの意義が集団免疫や感染予防ということから重症化の予防ということに変化しています。実際こどもでもPCR陽性者は結構出ていますが、まず重症にはなりません。つまりワクチンをうった効果がはっきりしません。それに加えて今のところ高齢者や、優先的に接種するべき介護委施設・保育施設に勤務する人達への3回目の接種がスムースに進んでいない状況があります。現在の最も大きな解決すべき問題はこれであり、少なくとも重症化の予防という観点からはそちらに注力するのが先決であろうという考えは成立します。つまり子供に打つよりも同居する高齢者や、学校の先生・こども園の保育士さんたちを優先して接種すべきと考えます。
そのうえ国家からは集団接種は同調圧力が生じる懸念があり、また教職員たちが接種後の体調不良に対応することが困難ということを鑑みて推奨しないという通達が出ています。そのほか①子供や保護者への丁寧な情報提供、②放課後や休日に実施、③副反応に応急対応する体制の構築、④保護者が同伴することなどの対策徹底を求めています。
では私の考えです。やはり重症化する可能性のある子どもについては優先的に接種するべきでしょう。具体的には心臓疾患(川崎病を含む)、ネフローゼなどの慢性腎疾患、自己免疫疾患、極端な肥満などのリスクファクターのある子供たちです。これについては小児科医が個別に判断すべきと考えます。
それから、子供からの家庭内感染が増加していることもあります。高齢者と同居、特に糖尿病でインシュリン注射をしている高齢者、軽度心不全で治療中の高齢者と同居している場合-これ以外にもいろんなパターンがあるでしょうからそれについてはかかりつけの先生に相談してくださいーはやはり優先順序を早めるべきでしょう。
それ以外の普通の健康な子供さんたち、こっちはどうでしょう。基本的には高齢者にしても、普通の成人にしても接種しなければいけない人はたくさんいますので、あきらかにそちらを優先すべきと考えます。大体3月から接種を始めて2回目がいつになるのかそして3回目はあるのかなどの見通しがわかりません。そうこうするうちに有効な薬も出てくるはずなので、そうなればインフルエンザと同じような考えでもよくなるかもしれません。
これらのことを鑑みて小児科学会・小児科医会はともに個別接種を推奨していますが、舞鶴市は個別接種はしないという強い意向のようです。私のところにも特別の極めて少数の子供の接種を依頼してきていますがそれ以外はそもそも接種がいつから始まるのかということを含めて全く不明です。
ただ、コロナウイルスはこの地球に出現してからせいぜい一万年程度といわれます。それに対して例えばヘルペスウイルスは数億年前に誕生したのだそうです(ホンマカイナ)。つまりヘルペスウイルスは億という年月で現在の感染症の原因ウイルスとしての地位を確立してきたわけです。それに比べるとコロナウイルスはまだ「ほんのひよっこ」でしかありません。ですからコロナウイルスが今後どんな進化を遂げていくのかは誰にもわかりません。たとえ人類ではいったん終息したとしても、またいつか動物の中で蔓延し再び人類の脅威になる可能性はあるのです。その時ウイルスがどのような変異を遂げているか、現在のワクチン、開発中を含めて有効な薬品が有効であり続けているか、それは神のみぞ知るです。

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